第43回日本未熟児新生児学会抄録

Partial Liqud Ventilation の基礎的検討
―perflubronの細胞毒性に関する検討(第2報)―

長野県立こども病院新生児科1)
小諸厚生総合病院小児科2)
○山崎崇志1)2)、岩田欧介1)、松沢重行1)
中村友彦1)、杉浦正俊1)、田村正徳1)
株式会社八光電機製作所技術部生化学研究課:滝沢実

緒言
我々は先の第34回日本新生児学会において、海外ですでにPartial Liquid Ventilationにおいて臨床応用されているperflubron(LiquiVentTM)について、コロニー形成法による細胞毒性試験を行った結果を報告した。今回は、MTT法を用いてperflubronの細胞増殖性試験を行った結果を報告する。

方法
@ヒトの肺扁平上皮癌由来であるSQ−5細胞を継代培養し、増殖を安定させる。Aコラ−ゲン溶液と培養液(MEM+10%FBS)でコラ−ゲンゲルを作り、24穴マイクロプレート内に600μlずつ分注する。B作成されたコラーゲンゲル上に1Wellあたり1000個の細胞をそれぞれ植え込み、ゲル上に細胞を付着させる。C培養液を吸引除去し、培養液、perflubron、FluorinertTM、(FC-84)、リン酸緩衝液(PBS)、シリコーンオイル(KF-96TM)を1mlずつ加え、perflubron の蒸発を防ぐためプレート上を密封する。Dインキュベ-タ-で3,6,9日間培養した後、プレート内のゲル上の液をすべて吸引除去し、MTT試薬入りの培養液を1mlずつ加え、さらに4時間培養する。E培養後MTT試薬入り培養液を吸引除去し、PBSで洗った後、0.04N HCl含有イソプロパノールを1mlずつ注入し、出来た色素(フォルマザン)を抽出する。F色素抽出液を別のマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダー(波長570nm)でそれぞれの吸光度を測定する。この吸光度は細胞増殖性を反映するものと考え、比較してみた。

結果
perflubron及びコントロールの吸光度を比較したところ、有意差を認めなかった。したがって、perflubronを添加した細胞の増殖性はコントロールと差がないと考えられた。

結語
コロニー形成法による細胞毒性試験のみならず、MTT法を用いた細胞増殖性試験でもperflubronの生体への安全性が高いことが証明された。